パシュートの金は日本文化の勝利だった。個々の力では劣るがチームワークのエネルギーである自分よりみんなを基とする心の姿勢、和を重んじた和が花を咲かした。スピードスケート女子団体追い抜きの頂点を目指して世界は日本の方式を模範として追従してくる。だが成功するだろうか大いに疑問だ。胤である血統がなければ物事の発生する成り立ちの基がないからだ。そのような物事はただの空想物語となる。手品には胤も仕掛けもあるが、事の成功裏には目に見えない胤がなくてはならない▲二六七七年もの間に海の壁に守られ世界で唯一、君主を抱かされた国民性の胤は人知の結晶というべき低次元の範疇の中には納めらない▼無いものから無いものができると信じて生きる姿勢には空虚しか生まれない。有るものから有るものが生まれると信じて生きる姿勢からは有が生じる▼人は一人では生きることができない。いくら個ががんばったところで周りに人がいないならむなしいではないか。私には妻がいて、子がいる。そして友人がいる。知人がいる。見も知らぬ会ったこともない人がいる。八十八歳の半身不随の人を見舞った。彼に祈ってもらった。

 

著者紹介

畠田 秀生
畠田 秀生
聖書と日本フォーラム会長。聖書日本キリスト教会・登茂山の家の教会牧師。三重県志摩市在住。