西郷隆盛、大山巌、東郷平八郎はテゲを守った。日本人全体の風(ふう)である。薩摩の風土性、上の者は大方針のあらましを言うだけで、こまごまとしたさしずはしない、これをテゲというと司馬遼太郎が「この国のかたち」でいっていた。なんとこの風のおかげで日本には独裁者が生まれなかったといわれてみれば「なるほど」だ。

▼日本にはアレクサンダー大王や秦の始皇帝、ヒットラー的人物は出なかった。信長、秀吉、家康は統治機構を整えたにすぎないと司馬はいう。信長にしても一目置いた天皇がいた。権威の配下にある風が日本国土と日本人に在った。この恩恵を受けた私たちほど恵まれた民族を他に見受けられないと思う。楠正成を筆頭に公を戴く人格こそ、日本風にふさわしい。

▼テゲには私心がないのが条件。「父のみ心を行なう者がわたしの兄弟姉妹である」イエスのことばである。上の者がテゲであれば、その下の者にまずはテゲの光輝く人格のアリやナシを見分ける知恵がなくしては事は滑稽なマンガと化すだけだろう。信仰の導き手、完成者イエスがおられるのだから、この方を心に抱いて生きるなら、知恵は十分すぎるくらい供えられる幸を体験し、会得できる。

著者紹介

畠田 秀生
畠田 秀生
聖書と日本フォーラム会長。聖書日本キリスト教会・登茂山の家の教会牧師。三重県志摩市在住。