母は小さな体を折り曲げて毎晩針仕事の内職をして私を大学にやってくれた。父は暑い夏も寒い冬も今の宅急便というやつだろう、リヤカーに荷物を積んで配達を黙々とやって67歳で私の膝の上で息を引き取った。その父母を貶めることはできない。何とか恩に報いるためにたとえ父母が亡くなった後であってもその心に沿って人生を歩むのが人の道。

▼先の大戦で命をかけて戦った人たちへの恩を忘れないのは、何処の国の人々でも差はない。8月15日の天皇陛下のおことば「今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが、多くの苦難に満ちた国民の歩みを思うとき、誠に感慨深いものがあります。」は、わが国民のすべての心である。

▼だが未だに特攻を犬死とし、言論の自由を旗印にして、日本人を貶める日本人がいるのも確かである。アメリカの戦後の日本へのプロパガンダや、政治的見解の相違があったとしても人としての立ち位置が父母祖父母への恩の否定は、今の自存否定に他ならない。

▼アブラハム、イサク、ヤコブの神という聖書の神の名に刻まれている深遠さに気づきたい。人よ、日本人よ、親からの血の引継ぎに目をとめようではないか。「父と母を敬え」を覚えよう。

著者紹介

畠田 秀生
畠田 秀生
聖書と日本フォーラム会長。聖書日本キリスト教会・登茂山の家の教会牧師。三重県志摩市在住。