精神科医の岡田尊司さんが著した『ネオサピエンス 回避型人類の登場』(文芸春秋)は書く。現生人類から枝分かれして新たな人類ネオサピエンスが登場しつつあるという。他者との絆に大きな価値を置く現生人類(共感型人類)に対して、ネオサピエンスとは、《他者との情緒的な関わりに喜びも関心ももたず、誰とも希薄な絆しかもたないタイプ》の人類のことで、「回避型人類」と岡田さんは命名する。

▼車中でパソコンゲームに集中する若者、老人や妊婦が前に立っていても素知らぬ顔。優先座席でないのだから平気ならなにをか言わん。こんな人類が子を生むと、武士道や聖書を生きがいとする道からほど遠い、親の愛情や世話を期待しない回避型人間が育っていく。

▼現代はIT革命、AI時代が到来した。こんな人間が生まれた。「出所したらまた人殺す」と公言する。人格など形無しである獣的生きものが生まれた。人の間に生まれる思いやり、惻隠の情、忍耐、自制、男女間の健全な交わり、生きる喜びに代わってスマフォを通しての情報に逃避する人類の出現。これは日本の人口の減少と世界平和と共生にひびを入れる。ネオサピエンス回避型人類増加を回避は今の課題だ。

著者紹介

畠田 秀生
畠田 秀生
聖書と日本フォーラム会長。聖書日本キリスト教会・登茂山の家の教会牧師。三重県志摩市在住。