朝刊に投稿されるエッセー。共に73歳の老夫婦が、起きて着替えて、どちらともなく両手を広げて歩み寄り、2,3秒間抱き合う。「おはよう」とあいさつをする。金婚式まであと4年とその投稿者の奥様は綴っていた

▼昨年、日本は赤ちゃん誕生が80万人を下回った。あと20年すると50万人になると予想されている。少子化対策が課題であるが児童手当の経済支援強化は問題解決ではない。結婚と子ども誕生は未婚化の根っ子課題を度外視するから起きる問題である

▼私が親しくしているニュージーランド人の敬虔なクリスチャン老夫婦たちはまさにエッセーの見本を照れもしないで私の眼前で披露してくれる。23歳でその光景を目の当たりにして眩暈したものだ。「俺が結婚して老人になったとき妻と毎朝ハグする」と心に誓って、妻と四九年経った。遠くここまで来た二人、同じ調べを歌うのは、オマエの他に誰もない、エッセーのお二人の仲間入りして来年で半世紀

▼人生山あり谷あり、男女が出会って結婚、「産めよ増えよ」の人生が始まる。近ごろ結婚観に新しい風潮が出始めた。夫と妻が一体になる神秘の祝福と未婚化への落差は、心でハグする老夫婦が日本に希少なるがゆえか。

著者紹介

畠田 秀生
畠田 秀生
聖書と日本フォーラム会長。聖書日本キリスト教会・登茂山の家の教会牧師。三重県志摩市在住。