暑い夏を経れば経るほど冬が来る直前、渋柿が甘柿になる。暑さが厳しければ厳しいほど苦渋が甘汁となるのは自然の摂理。青年時の苦しみに耐えた若者が歳老いて熟成した人格をその本人が味わう。青年の時に大志を抱かない者は、渋さの中で耐えることは至難の業だ。クラーク博士は「少年よ、大志を抱け」と言った。そのことばを信じて多くの実を実らした人物に内村鑑三、新渡戸稲造らがいた

▼「若いときに、くびきを負うのは良い」とエレミヤは言った。くびきが若者に道を示し、確実な将来を約束する。負わされたら黙って耐えよ、ひとり座って口をちりにつけ、自分を打つ者に頬をむけ、十分にそしりをうけよ、と聖書はいう

▼キリスト信者の通る苦しみは、罪からは派生しない。神のおられることと神は求める者には報いてくださることを確信するからである

▼冬直前に赤く甘い実をつける甘柿こそ神の恩恵。一番先に歓喜するのは柿自身、またその柿を味わう柿の隣人たちである。若い夏に大志を抱いて人に頼るのは渋柿のままである。大志は政治家になることではない。社会実業家になることでもない。良き父母になることでもない。大志とはキリストの弟子となることである。

著者紹介

畠田 秀生
畠田 秀生
聖書と日本フォーラム会長。聖書日本キリスト教会・登茂山の家の教会牧師。三重県志摩市在住。