「天地の初発の時、高天原に成りませる神の名は、天之御中主神」と古事記の冒頭にある。聖書では「初めに、神が天と地を創造した」とある。なんでも事には初めがある。人それぞれにも初めがある。今年の正月元旦に今年こそはと年頭の志をもった人も多いだろう
▼昔イスラエルの民はエジプトで奴隷だった。自由の身になって脱出したのが、ユダヤ歴のニサンの月と言われて、正月元旦だった。その時まで彼らはパロの圧制に苦しめられ、自由はなかった。しかしその日から荒野の生活を余儀なくされたにも関わらず、自由の身となった。喜びの前には苦しみがあるのが人生のパターン。暗黒があって光が照る。悲しむ人には、約束されていることばがある、それは「悲しんでいる人は幸いです。その人たちは慰められから。」
▼ある辛い苦しいところからの救いは多くの人にとってまだ訪れていないかもしれない。にもかかわらず、救いが必ず来ると信じる人には将来がある。希望を砕こうとする力は四方八方から襲いかかる。各自が志を抱きつつ一緒に走ろうと声をかけてくれる友がいる。死に瀕しつつも内なる友の声を聞く人は幸いだ。八十路の真中にいる筆者の正月の声としたい。
著者紹介

- 聖書と日本フォーラム会長。聖書日本キリスト教会・登茂山の家の教会牧師。三重県志摩市在住。
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