人権は尊重されるべき普遍的な価値。思想や意見を自由に表現する権利は民主主義社会の基本だ。社会の中で共存していくためには、常に他者の権利や社会全体の利益との調和を図る必要に反して、根拠のない噂をSNSで拡散し、特定個人の社会的評価を著しく低下させることが大手を振ってまかり通る。特定の民族に対して「出て行け」といった差別的な言葉を公の場で叫ぶ、など人権の許容範囲は、具体的な状況や時代背景によって変化し得る、と断じていいものか

▼常に議論と検討が必要となる課題と言える。重要なのは、個人の自由を尊重しつつも、社会の秩序を維持し、全ての人々が安心して生活できる社会を目指す。この模範ともいうべきことを人はできない宿命に縛られていると断じるを得ないのはやりきれない

▼スペイン出身のアメリカの哲学者G・サンタヤーナは「真理は残酷だが、愛される。それを愛する人たちを自由にする」と言った。私は偽善者が真理に宗教的しきたり、儀式、人の言い伝えを教え、その下で人たちが翻弄されて一生を棒に振るような残酷さを見た。真理が残酷だという前に、真理を真実に語った人を知る事こそ自由を得る慈悲だと思う。

著者紹介

畠田 秀生
畠田 秀生
聖書と日本フォーラム会長。聖書日本キリスト教会・登茂山の家の教会牧師。三重県志摩市在住。