友人の別荘で泊まった朝、散歩していると藤原正彦氏に会った。立ち話をしていると内村鑑三の日本を愛した心意気で意気投合した。彼は、今年の初めに出版した『日本人の誇り』の中で「日本は欧米を説教したことがない。帝国主義、共産主義、新自由主義、最近ではTPPなど、欧米の決定したドクマに乗るか乗らないかを選択するのみ。自ら新しいドグマを提出することも、提示されたドグマを粉砕することもしません。」と嘆いていた▶新しい首相を待望しているこの時期に、日本に根づく精神性である高潔な武士道を根幹とした政策を掲げる指導者は?そのような器の不出は、日本の宿痾(しゅくあ)であるとも彼は言う。まことにたいへんな持病を抱えてしまっているのは原発事故以上の問題と言えるのでは▶西洋の帝国主義に毒された日本を覆っているキリスト教世界にも希望がない。置換神学、西洋文明肯定是認の上に立った宣教等、もういい加減にその失敗と弊害に目覚めてもいいときではないか。日本文明は消滅したとは思えない。その聖書的精神性を覚醒する神信仰者の出現を神ご自身がお待ちである。
著者紹介
- 聖書と日本フォーラム会長。聖書日本キリスト教会・登茂山の家の教会牧師。三重県志摩市在住。
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